アメリカFRBが15か月ぶりに政策金利を見送り 年内は今後2回の利上げを想定

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アメリカFRBが15か月ぶりに政策金利を見送り 年内は今後2回の利上げを想定

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アメリカFRB(連邦準備制度理事会)は14日、今後の金融政策を決定する会合を開催し利上げの見送りを発表。金利の据え置きはおよそ15か月ぶりで、昨年3月より続いた利上げは一時停止となりました。FRBは記録的なインフレ抑止を目的として、これまで10回連続で利上げを実施。年内の政策金利は、今後2回の利上げが予想されます。

政策金利についての見通し

2023年末の金利水準の中央値は5.6%ですが、現在の政策金利は5.0~5.25%幅での据え置きとなります。政策金利は1回あたり0.25%の引き上げが想定されるため、定められた中央値までに今後2回の利上げが行われる見通しです。また、来年2024年末における金利水準の中央値は今回の会合で4.6%に更新され、5月に定めた4.3%から0.3%の上乗せを表明。今年6月の消費者物価指数は前年の同月と比べ4.0%上昇していますが、1年連続で前の月を下回りました。さらに特定分野で人手不足が続き、各企業は賃金の上昇分を物価に転嫁する動きが相次いでいます。一方で今年10~12月のGDP(国内総生産)予測は昨年同時期との比較で、当初のプラス0.4%から1.0%に上方修正されました。

「目標のインフレ率2.0%には遠い状況」 パウエル議長が見解を表明

FRBのパウエル議長は会見で、「昨年からインフレ率は落ち着きを取り戻していますが、依然として高い水準が続いています。インフレ率の目標値である2.0%には、未だ遠い状況です」とコメント。年内にさらなる利上げを行う理由として、「これまでインフレが低下すると予想していましたが、エネルギーと食品を除いた個人消費支出の物価指数に進展が見られません。経済への影響を最小限に抑えるため、インフレ率を2.0%へ導く必要があります」と説明しました。また、「多くの金融機関が商用不動産に融資していますが、大半は中小の地方銀行です。インフレで支出の低迷が続き不動産の価値が下落した場合、融資した銀行は大きな損失も予想されます」と述べ、今後の状況を注視する必要があるとの見解を示しています。

利上げに関するこれまでの経緯

2021年12月に消費者物価指数が7.0%を記録した急激なインフレにより、FRBは昨年3月の会合で0.25%の利上げを決定。しかし、インフレは収束の兆しが見えず、6月から11月までの会合では4回連続で0.75%の大幅な利上げを行いました。その後は、消費者物価指数の上昇率が前月を下回り、昨年12月は利上げ幅を0.5%に縮小。一方で今年3月に「シリコンバレーバンク」と「シグネチャー銀行」が破たんし、5月には「ファースト・リパブリック銀行」がアメリカの金融史上2番目の規模で倒産しました。相次ぐ銀行破たんによりFRBは再び0.25%の利上げを決定し、昨年3月から10回連続で利上げを実施。また、国民の間では金融不安が広がり、多くの銀行で預金を引き出す行列がみられました。こうした状況を受け、債務上限法案をめぐりバイデン政権と共和党は激しく対立しましたが、6月1日に両党は合意を表明し金融危機を回避しました。

参考元:CNNREUTERSFinancial Times