アメリカで医療麻薬“フェンタニル”による死者が急増 米中は初の協議を開催

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アメリカで医療麻薬“フェンタニル”による死者が急増 米中は初の協議を開催

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米中両政府は30日、乱用によりアメリカ国内で死者が急増している医療用麻薬“フェンタニル”の取り締まりに関する初の合同協議を開催。北京で行われた会合には両国の政府高官らが出席し、2日間にわたり活発な意見を交わしました。バイデン大統領と中国の習近平国家主席は昨年11月の首脳会談で、フェンタニルの供給に関する協力体制について合意を表明。医療用として使用すべき麻薬が一般に流通している状況を鑑みて、両国は規制強化に取り組む方針を示していました。
アメリカ側はフェンタニルについて、「主に中国で製造された原料をメキシコの犯罪組織や麻薬カルテルが合成し米国へ密輸している」と主張。これに対し中国は事実無根と反論し、アメリカ側の主張を否定しています。協議終了後は中国の王小洪(ワン・シャオホン)国務委員兼公安相と、アメリカDEA(麻薬取締局)のミルグラム局長らが共同会見を開催。「綿密かつ実務的な意思疎通を図り、規制強化に向けた計画を推進することで意見が一致した」と説明しました。両国の代表は緊張が続く米中関係に配慮し、「安定かつ健全な体制が継続できるよう協力の強化と拡大に期待する」とコメント。会見に同席したCBP(米国国土安全保障省 税関・国境取締局)のミラー局長代行も、麻薬カルテルの撲滅に向けて尽力する姿勢を強調しました。
また、NSC(国家安全保障会議)のカービー戦略広報調整官は、フェンタニルの成分となる“オピオイド”について言及。「前駆体の流通と輸出を停止し違法な資金提供を取り締まるため、米中の法執行機関はさらに連携する必要がある」と指摘しています。今回の協議は「フェンタニル抑制の始まりに過ぎない」と述べる一方、同じ目的を持ち協力体制が深化したと評価し中国側の歩み寄りに謝意を示しました。

医療麻薬フェンタニルの成分“オピオイド”とは

オピオイドとはモルヒネに類似した鎮痛・陶酔(とうすい)作用があり、ケシから採取される成分を合成した化合物を指します。医療分野において外科手術やがんの疼痛(とうつう)治療に使用されますが、高容量の摂取は昏睡や呼吸に異変を引き起こす恐れがあるため取扱いに十分な注意が必要です。
オピオイドは今年11月に行われる大統領選挙でも争点となり、共和党(野党)は「バイデン政権はメキシコからのフェンタニル密輸を抑止するため十分な対策を講じていない」と非難しています。

参考元:CNBCPBS NEWS HOURBloomberg