アメリカの大型車排気ガス規制案 業界からの反発を受けて初案を緩和し最終調整へ

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アメリカの大型車排気ガス規制案 業界からの反発を受けて初案を緩和し最終調整へ

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EPA(アメリカ環境保護局)は29日、トレーラーやバスなど大型車の排気ガス規制基準を厳格化する法案について言及。2055年までに温室効果ガス排出量を10億トン減少させる目標を掲げていますが、自動車業界からの強い反発を受けて緩和する方向で最終調整に入りました。アメリカ国内における温室効果ガス排出量は29%が輸送関連で、このうち25%は大型車によるものとEPAは指摘。政府は燃料削減と排出量の抑制により年間でおよそ130億ドルの利潤を試算しましたが、業界団体は現実的でないと反論し一部車種の適用時期を再考する方針です。
最終調整に入る規制案の対象車種は、2027~2032年に製造されるトレーラーやトラックなどとEPAは説明。ごみ収集車やバスのほか公共サービスなどに使用される大型車両は、適用を遅らせる方向で調整するとみられます。草案は温室効果ガスの排出量を18億トン削減する内容でしたが、電気自動車を推進するテスラや環境保護団体はさらに厳しい規制を要求していました。これに対し自動車業界とトラック協会は、「絶対に達成不可能な目標で企業の管理能力を超えている」と激しく非難。大型車やエンジンを製造する企業に多大な経済損失を及ぼすとの主張を受け入れ、EPA側は緩和に転じた形です。
また、バイデン政権は3月20日付けの声明で、2032年までの電気自動車普及率を当初の67%から35%に引き下げると発表。今年11月の大統領選挙で激戦が予想されるミシガン州の自動車団体からの反発を受けて、目標値を大幅に変更しました。代替案としてEPAは自動車メーカーに対して、ハイブリッド車による排出基準の自由化を認める「技術中立規制」を採用し、車両の軽量化やアイドリングストップ点火システムなど「先進ガソリン技術」を推進する意向を表明。しかし、環境保護団体らはEVへの移行を遅らせる中途半端な措置と反対しています。
EPAのレーガン長官は新たな排気ガス規制案について、「現行の基準と将来的な目標をあらゆる角度から見直す必要がある。当初と異なる方法を取り入れても大気汚染の削減を実現し、最終目標を達成できるよう国全体で協力しなければならない」とコメント。自動車産業と消費者が柔軟に対応できるよう、多方面で調整する姿勢を強調しました。一方で、「電気自動車の導入義務を進める考えはない」と述べています。

参考元:EPAREUTERSCleanTechnica