アメリカ東部の橋崩壊事故から一夜 水没したトラックから2人の遺体を発見

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アメリカ東部の橋崩壊事故から一夜 水没したトラックから2人の遺体を発見

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メリーランド州ボルティモアで起こった大規模な橋の崩落事故から一夜明けた27日、沿岸警備隊は行方不明となっていた作業員6人のうち2人を遺体で発見したと報告。いずれも26日未明に橋の補修作業を行っていましたが、操縦不能となった大型貨物船が橋りょうに激しく衝突したため作業員らは海へ転落しました。事故当時の水温や潮流などを踏まえた上で警察は早い段階で6人全員が死亡したと推定し、26日夕方に捜索の中止を発表。しかし、市長らの強い要求により沿岸警備隊は水中での捜索を再開し、35歳と26歳の男性作業員2人の発見に至ったとNTSB(国家運輸安全委員会)は述べています。2人は水没したトラック内で遺体となって見つかり、残る4人もすでに死亡したとみて警察とNTSBは詳しい原因を調べる方針です。
水中からは貨物船の位置情報や船内とのやりとりを記録するVDR(航海データ記録装置)が回収され、事故発生前を含めた6時間にわたる内容を確認したとNTSBは説明。午前1時にボルティモアを出航したシンガポール船籍の「ダリ号」は午前1時24分に電気系統の異常を感知し、船内に警報が鳴り響く音が記録されています。操縦不能となったダリ号は救難信号を発出した状態で、事故現場となった全長2.6キロの「フランシス・スコット・キー橋」へ突入。午前1時30分に支柱へと衝突し、一瞬のうちに橋全体が崩落しました。事故を起こしたダリ号には当時22人の乗組員が乗船していましたが、大きなけが人は報告されていません。船は橋に衝突したまま停滞しており、およそ4,700個のコンテナが積載されていると沿岸警備隊は説明。そのうち56個のコンテナには危険物が積まれていますが、河川への流出は無いと報告しました。そのほか150万ガロンを超えるガソリンや燃料が積載されているため、沿岸警備隊のダイバーは慎重に捜索活動を行っています。
47年前に開通したフランシス・スコット・キー橋は昨年5月の定期検査で安全性が確認されていましたが、調査を担当した専門家は「構造上の関係で一部が破損した際は橋全体が崩落する恐れがある」と指摘。1日あたり3万台が通行する橋の崩落により首都ワシントンとニューヨーク州の間は各地で渋滞が起こり、8,000人以上の港湾関係者への影響が予想されます。メリーランド州のムーア知事は、「橋の崩落はアメリカだけでなく、世界のサプライチェーン(物資の供給網)に大きなリスクをもたらすだろう。今回の事故は世界的な経済危機につながる恐れがあり、早急に航路の回復に努めなければならない」とコメント。昨年はボルティモアのみで800億ドルを超える貨物の取り扱いがあったと述べ、1日あたり最大1,500万ドルの損失が生じると危機感をあらわにしました。
こうしたなか、事故の調査を担当するNTSBは「崩落と衝突の原因特定までに1~2年を要する」との見通しを表明。ホワイトハウスで橋の再建について問われたブティジェッジ運輸長官も、「原因の究明は短期的かつ簡単にできるものではない」と述べ、相当な時間がかかる認識を示しました。

参考元:BBC NEWSCable News Network (3/26)Cable News Network (3/27)