アメリカ政府がメキシコ国境との壁を再建 バイデン大統領が新区間の建設を承認

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アメリカ政府がメキシコ国境との壁を再建 バイデン大統領が新区間の建設を承認

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バイデン大統領は5日の会見で、メキシコからの不法移民を阻止する壁の建設について言及。ビザを取得せずに移住を求める市民が増加の一途を辿る中、「国境付近に壁の建設は必要」と述べ従来の方針を転換する考えを表明しました。バイデン氏は、トランプ前大統領が推進していた壁の建設を2021年の就任直後に中止する大統領令に署名。メキシコに近いテキサス州スター郡ではおよそ32キロの壁の再建が決定し、近日中に大統領令の一部を変更し建設を開始する予定です。バイデン氏は2020年の大統領選で、「当選した際は1フィートたりとも壁は作らない」と宣言していましたが、苦渋の決断を下しました。
また、DHS(アメリカ合衆国国土安全保障省)も5日に会見を開き、「同地域の不法移民は昨年10月から今年8月初旬までに24万5,000人を超えた」と報告。違法な入国を防ぐため、国境付近に物理的な障害物を速やかに建設する必要があると指摘しました。壁の再建費用はトランプ政権下の2019年度会計予算ですでに計上されており、DHSは新たな区間の建設費も過去に確保された資金を投じると説明しています。
一方、トランプ前大統領は自ら立ち上げたSNS“トゥルース・ソーシャル”に、バイデン政権に対する苦言を投稿。「私の判断が正しかったと証明された。必要な壁の建設に時間がかかったことを、私とアメリカ国民に謝罪するのだろうか」と挑発しました。
壁が建設されるテキサス州スター郡のクエラー下院議員(民主党)は、「今回の決定を地元市民が喜ぶとは思えません。21世紀となった今も過去の法律で解決する古い考えに反対しています」とコメント。同じく民主党のコルテス下院議員も、残酷な政策だとバイデン氏の決断を非難。「国民と議会は移民問題についてもっと真剣に話し合う必要がある」と述べ、与党からも批判の声が上がっています。
CBP(米国国土安全保障省 税関・国境取締局)が今年8月に南部国境沿いで逮捕した不法移民は18万人を超え、7月の約13万人から大幅に増加。メキシコのオブラドール大統領は、「強制送還される市民は1日1万人に上り、今後さらに増加するだろう」と危機感をあらわにしました。共和党(野党)が強い基盤を保つテキサス州とカリフォルニア州では不法移民の流入で治安の悪化が懸念され、国境管理問題は来年秋の大統領選挙に向けて大きな争点となります。

参考元:BBC NEWSREUTERS