アメリカFRBが銀行健全性審査「ストレステスト」を実施 全23銀行が合格

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アメリカFRBが銀行健全性審査「ストレステスト」を実施 全23銀行が合格

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FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は28日、銀行健全性審査「ストレステスト」の結果を発表。アメリカの大手23行は自己資本比率が最低基準を上回るとして、今年5月に破綻したファースト・リパブリック銀行を買収したJPモルガン・チェース含む全ての銀行が合格したと述べました。テストを行った23行は資産総額2,500億ドル以上の大規模銀行で、破綻したシリコンバレーバンクなどの中堅銀行は対象外としています。
ストレステストとは株価の暴落や金利の高騰など金融市場に不測の事態が発生した場合を想定し、地位損失の度合いや損失回避策をシミュレーションするリスク管理手法です。2008年に発生したリーマン・ショック後、アメリカ金融当局が実施した検査を”ストレステスト”と呼称した件に由来しています。テストは毎年行われ、合格した銀行は配当を株主に還元する許可が与えられる制度として評価されてきました。今年のテストは前年同様に厳しい想定下で行われ、2023年第1四半期(1~3月)から2025年第1四半期までの9四半期におけるシミュレーションを実施。各金融機関の損失や収益、資本がどのように変化するかを調査しました。その結果、損失総額は23行で5,410億ドルに上り、このうち貸し倒れ損失が4,240億ドルと損失総額の78%を占めたと説明。特に商業用不動産と住宅ローンによる損失は1,000億ドル以上、クレジットカードによる損失は1,200億ドルに上るなど前年を上回る損失額となりました。自己資本比率は2022年第4四半期の実績値から2.3ポイント低下し10.1%に下落しましたが、前年の低下幅(2.7ポイント)との比較では最低基準(4.5%)の2倍以上となっています。
一方で大手銀行側は「ストレステストが経済市況の混乱を招いている」として不満を募らせており、政府機関を監視するGAO(米政府監査院)は「FRBと大手銀行がより多くの情報を共有すべき」と指摘。これを受けてFRBは段階的に機密情報を公開していますが、イエレン米財務長官は「詳細な情報公開によって銀行側は直面するリスクが増え、収益環境がさらに悪化する恐れがある」と懸念を示しました。また、「3月に相次いだ銀行破たんによる影響が未だ尾を引いており、合併を模索する中堅銀行は今後も増えるでしょう」とコメント。イエレン氏の発言によりストレステストは見直しが求められ、今後の方針や実施方法に影響を与えると予想されます。

参考元:REUTERSBloombergFRB