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アメリカ議会下院は20日、ウクライナに対する追加軍事支援の緊急予算案について採決を実施。与野党による対立で数か月にわたり停滞していましたが、賛成311・反対112の賛成多数で可決されました。バイデン大統領は「支援再開に向けて大きく前進した」と述べ、ジョンソン下院議長らに感謝を述べました。
予算案の総額はおよそ608億ドル(約9兆4,000億円)で、支援の一部は返済義務を伴う借款を適用すると下院議長は説明。採決は下院で多数を占める共和党(野党)議員の約半数が反対しましたが、民主党(与党)の大半が賛成票を投じ超党派での可決となりました。正式な予算成立は、議会上院での可決とバイデン大統領の署名を経て今月末に施行される見込みです。議会下院は今回の予算案の内訳について、ウクライナに対し263億ドル(約4兆600億円)、イスラエルへ264億ドル(約4兆800億円)、台湾を含むインド太平洋地域に81億ドル(約1兆2,500億円)と発表。イスラエルへの予算には深刻な戦況が続くガザ地区を対象とした人道支援費用も盛り込まれており、食料や物資の供給だけでなく人質解放に向けた根本的な解決案を提示する方針です。
ロシアから激しい侵攻を受けるウクライナは武器の不足が顕著となり、今年に入り劣勢な状況が続いています。こうした中、バイデン政権は最大の軍事支援国としてウクライナを支持する意向を示してきましたが、野党の保守強硬派からの強い反発により予算の承認は暗礁に乗り上げていました。資金が枯渇したウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカ政府に予算の早期承認を要請し、数回にわたり米国議会で支援の必要性を訴える演説を展開。アメリカ国防長官も「数週間以内にウクライナの武器は底をつき、ロシアに制圧される寸前の状況にある」と警戒感をあらわにしていました。今回の予算可決によってバイデン大統領は安堵の表情で会見に臨み、「アメリカは今後も民主主義の指導者として明確なメッセージを世界に送り続ける」と語りました。
アメリカ議会下院が緊急予算案を可決したことを受けて、ウクライナのゼレンスキー大統領は20日に声明を発表。「正しい方向へと歴史を導く決断をしたアメリカ議会下院、特に難題を取り纏めたジョンソン議長に深く感謝いたします。アメリカの支援がある限りウクライナが倒れることはないでしょう」と感謝を述べました。さらに、「本日可決された予算案は我々だけでなく世界にとって非常に重要な意味を持ちます。戦争の拡大を防ぎ、大勢の命を救い、民主主義の絆がさらに深まると信じています。ありがとうアメリカ!」とコメント。法案が上院でも支持され、バイデン政権の速やかな支援に期待を示しました。
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