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アメリカ連邦最高裁は29日、ハーバード大学とノースカロライナ大学の入試選考で黒人など少数人種を優遇する積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)を違憲と判断。この判決は大学における多様性の確保を目的とした同措置の撤廃を意味し、長年にわたる慣例を覆すものとなります。
アファーマティブ・アクションは1961年に当時のジョン・F・ケネディ大統領によって導入され、「人種、信条、肌の色、または出身国を理由に従業員または雇用申請者を差別してはならない」と定めた政令を起源とし今日まで受け継がれてきました。今回の判決について保守派が基盤の共和党からは歓迎の声が相次ぎましたが、バイデン大統領率いる民主党議員らは人種差別解消を反故(ほご)するものだとして批判を強めています。一連の報告を受けたバイデン氏は、「最高裁の判決に強く反対する。正常な判断ではない」と激しく非難。一方、次期大統領選で返り咲きを狙う共和党のトランプ氏は同日の声明で、「アメリカにとって素晴らしい日だ」と喜びをあらわにしました。トランプ氏の支持団体は、過去の大統領在任中に現職の保守派判事3人を指名。最高裁での保守派優位がアファーマティブ・アクションの否認につながったと述べています。次期大統領候補の指名者争いに参戦する共和党のヘイリー元国連大使は、「従来の人種による優遇措置は間違っている」とコメント。同党のペンス前副大統領も「最高裁の判決に満足している」と述べました。
今回の裁判で対象となったハーバード大学では、黒人や中南米系の入学者における合格理由の約45%が人種であると回答。しかし、少数派の優遇を禁じているカリフォルニア州やフロリダ州では、上位大学の合格者における少数派の割合は他州と比べ大幅に下回っています。共和党支持者にとって最高裁の判決は「常識の勝利」であるとし、あらためて民主党への敵対意識を露呈しました。来年の大統領選挙に向けた候補者指名争いが本格化するなか、人種問題をめぐる政治的な対立激化は避けられない事態となっています。
更新日 : 2024年5月4日
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