過去にアメリカで発生した大規模なハリケーンランキング 総被害額は約1兆ドル

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過去にアメリカで発生した大規模なハリケーンランキング 総被害額は約1兆ドル

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NOAA(国立環境情報センター)は、アメリカで10億ドル以上の被害をもたらしたハリケーンのランキングを発表。上位10件のハリケーン総被害額は、約9,271億ドル(約125兆円)に及ぶと報告しました。2023年は5月時点で5件のハリケーンが発生し、これまでの被害額は139億ドルに上ると説明。2022年は18件ものハリケーンが発生し、総被害額は1,650億ドルで史上3番目の災害規模となっています。また、過去に甚大な被害をもたらしたマイケル(2018年・総被害額297億ドル)とウィルマ(2005年・総被害額289億ドル)は、2021年のアイダ(Ida)と2022年のイアン(Ian)の発生により10位圏外となりました。
過去にアメリカで発生した大規模なハリケーンのランキングは以下の通りです。

1位:カトリーナ(Katrina) 2005年 1,925億ドル
2位:ハービー(Harvey) 2017年 1,525億ドル
3位:イアン(Ian) 2022年 1,140億ドル
4位:マリア(Maria) 2017年 1,098億ドル
5位:サンディ(Sandy) 2012年 846億ドル
6位:アイダ(Ida) 2021年 809億ドル
7位:イルマ(Irma) 2017年 610億ドル
8位:アンドリュー(Andrew) 1992年 578億ドル
9位:アイク(Ike) 2008年 414億ドル
10位:イワン(Ivan) 2004年 324億ドル
※ハリケーンの規模をあらわすカテゴリーは、5段階に分類され最大値が5となります。

1位:カトリーナ(Katrina) 2005年 1,925億ドル

2005年にフロリダ州マイアミ周辺に上陸したカトリーナは、総被害額においてアメリカ史上最大のハリケーンです。当初はカテゴリー1のハリケーンとして上陸しましたが、次第に勢力を強めながら南フロリダで停滞。メキシコ湾の温暖で湿った海域に入った後、北西へ移動しながら急速に勢力を拡大しカテゴリー5に達しました。その後、メキシコ湾岸北部でカテゴリー3に弱まりましたが、激しい暴風域によりミシシッピ州、アラバマ州、ルイジアナ州南東部の海岸で巨大な高潮が発生。高波によりニューオーリンズ州の堤防は決壊し州内の80%が浸水するなど、大きな被害をもたらしました。NOAA(国立環境情報センター)の統計によると、カトリーナとその余波により1,392人もの死亡が報告されています。

2位:ハービー(Harvey) 2017年 1,525億ドル

2017年に発生したハービーは、強烈な突風を伴うカテゴリー4のハリケーンとしてテキサス州を直撃。上空で失速したあと東側に蛇行してメキシコ湾へ戻り、ルイジアナ州キャメロン付近に上陸しました。速度が遅いハービーは各地で記録的な豪雨と洪水を引き起こし、テキサス州ネーダーランドでは1週間にわたる長雨でアメリカ史上最高の降雨量を記録したハリケーンです。また、同州南東部では30万戸以上の建物と50万台もの車両が浸水し、68人の死亡が報告されました。

3位:イアン(Ian) 2022年 1,140億ドル

イアンはカテゴリー4の規模でフロリダ南西部に上陸し、時速140マイル(225km/時)の強風で15フィート(約4.5メートル)もの高潮を発生させた巨大なハリケーンです。フォートマイヤーズビーチとサニベル島の大部分が崩壊し、フロリダ半島で記録的な洪水を引き起こすなど深刻な状況が続きました。また、フロリダ北東部のほか、ポーリーズ島を含むサウスカロライナ州の海岸沿いで高潮と強風が発生。イアンの発生と余波により156人が亡くなり、うち150人はフロリダ州で死亡が確認されました。フロリダ州は過去にも巨大なハリケーンが上陸し、1928年にはアメリカ史上最大規模とされるオキチョビーの被害により推定2,500人以上の死亡が報告されています。

4位:マリア(Maria) 2017年 1,098億ドル

マリアはこれまでプエルトリコ準州に上陸したハリケーンのなかで、最も甚大な被害をもたらしました。2017年にドミニカ島へ上陸した後、米国領バージン諸島付近でカテゴリー4に発達。強風の影響で全ての送電線と80%以上の電柱が破壊され、島全体が停電となり復旧までに18か月もの歳月を要しました。また、度重なる洪水により山では地滑りが多発し、無数の木々や土砂が道路と橋に滞留する事態が発生。河川付近や山間部の集落が孤立するなど、深刻な状況が続きました。プエルトリコ政府はマリアによる死者はハリケーンとその後の被害で、推定2,975人に上ると報告しています。

5位:サンディ(Sandy) 2012年 846億ドル

2012年に発生したサンディは発達した暴風域を保った状態で東海岸に上陸し、ニュージャージー州とニューヨーク州の沿岸部に壊滅的な被害をもたらしました。高潮と洪水により65万戸の家屋が倒壊および損壊し、72人の死亡が確認されています。この影響で北東部の約850万戸が停電し、復旧までに数週間を要する大惨事となりました。非営利団体「飢えと闘うニューヨーク市連合」は、サンディの影響により1年間で市内に住むおよそ20%の子どもが貧困や飢餓に陥ったと報告。多くの市民が家を失いホームレス生活を強いられたと指摘し、悲惨な状況に対する支援を訴えました。

6位:アイダ(Ida) 2021年 809億ドル

2021年にカテゴリー4の規模を保ちながらルイジアナ州に上陸したアイダは、同州で最も深刻な被害をもたらしたハリケーンです。時速160マイル(約257km/時)を超える突風が吹き荒れ、1時間に最大15インチ(約380ミリ)の豪雨を記録。最大14フィート(約4メートル)におよぶ高潮により沿岸の町は浸水し、ニューオーリンズに電力を供給する全ての送電線が断線しました。アイダの影響で北東部を中心に断続的な豪雨が発生し、11の観測地で河川の水位が過去最高値を記録。ニューヨークでは浸水した地下街に取り残された数百人が救助された一方、多数の市民が亡くなりました。

7位:イルマ(Irma) 2017年 610億ドル

イルマは2017年9月、カテゴリー5に発達した状態で西インド諸島のバーブーダ島を直撃。時速185マイル(約296m/時)もの風速で町を壊滅させ、バージン諸島、セントトーマス島、セントジョン島にも大きな被害を及ぼしました。また、フロリダ州も高潮や強風により深刻な影響を受け、同州キーズでは最大8フィート(約2.5メートル)の高波を観測。河川の氾濫により送電線が遮断され、大規模な停電や家屋の倒壊が報告されています。その後イルマは北上し、ジョージア州中南部へ上陸。広範囲にわたり浸水などの被害を引き起こしました。

8位:アンドリュー(Andrew) 1992年 578億ドル

小型のハリケーンとして発生したアンドリューは、バハマの北西部を通過しフロリダ州マイアミに上陸。次第に勢力を強めて北上し、同州南部のほかルイジアナ州南西部を襲い建物や作物に大きな被害をもたらしました。その後フロリダ州南東部でカテゴリー5に発達し、激しい突風により多くの建物が倒壊。マイアミ・デイド郡では90%の家屋で屋根が損壊し、65人が死亡する甚大な被害を及ぼしました。また、ルイジアナ州中南部でも暴風による深刻な被害が発生し、農作物の不作や経済面で大きな損失が報告されています。

9位:アイク(Ike) 2008年 414億ドル

アイクは上陸当初カテゴリー2の規模でしたが、次第に勢力を強めて大型のハリケーンに発達。テキサス州とルイジアナ州を襲い、ヒューストン南東のボリバル半島では大半の家屋が吹き飛ばされる事態となりました。強風の影響は広範囲におよび、アーカンソー州、テネシー州北西部、ミズーリ州南部、イリノイ州南部、インディアナ州南部、ケンタッキー州、オハイオ州、ミシガン州、ペンシルベニア州で被害が確認されています。当初295億ドルと試算された被害額はその後の調査で414億ドルに上り、少なくとも113人の死亡が報告されました。

10位:イワン(Ivan) 2004年 324億ドル

2004年に発生したイワンは、アラバマ州南部とフロリダ州パンハンドル西部に上陸。1か月前にはフロリダ半島にハリケーンチャーリーが上陸し、沿岸付近は短期間に大きな被害に見舞われました。イワンは次第に勢力を拡大し、カリブ海上でカテゴリー5に発達。ジョージア州、ペンシルベニア州、ニューヨーク州、ニュージャージー州など北東部にも上陸し、暴風と高潮による甚大な被害が報告されています。イワンは米国内で120もの竜巻を起こし、発生当時はアメリカ史上2番目に被害額の大きいハリケーンとして記録されました。

参考元:The Weather ChannelNational Centers for Environmental Information (NCEI)