【2023年6月12日更新】WHOがサル痘(エムポックス)の緊急事態を宣言 アメリカ国内は3万人以上が感染 世界の症例は約8万8,000人に

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【2023年6月12日更新】WHOがサル痘(エムポックス)の緊急事態を宣言 アメリカ国内は3万人以上が感染 世界の症例は約8万8,000人に

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【アメリカ国内の新型コロナウイルス最新情報はこちら】

WHO(世界保健機関)は2023年5月11日、サル痘(エムポックス)に関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言」を終了しました。詳細は「WHOがサル痘(エムポックス)の「緊急事態宣言」を終了 アメリカなど111か国で症例を確認」をご確認ください。

これまでの経緯とWHOの対応

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は2022年6月14日、各国で感染が確認されている動物由来の伝染病サル痘(エムポックス)について言及。「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態宣言」への指定を検討する会議を6月23日に行うと発表しました。緊急事態宣言の是非は有識者による委員会の議論を踏まえ、最終判断はテドロス氏が行うと説明。同宣言が発出された際は加盟国に防疫措置を勧告し、各国は感染状況に応じた入国制限や水際対策が求められます。
テドロス氏は会見で、直近で確認されたサル痘ウイルスは従来と異なる特徴がみられると指摘。アフリカやヨーロッパを中心に患者が増加している状況を受け、各国で対応の強化について検討すべきとの見解を示しました。また、WHOとECDC(欧州疾病予防管理センター)はこれまでの追跡調査で確認された多くの症例について、男性同士による性的な接触があったと指摘。一方で感染経路が特定できない市中感染や女性の症例も確認されたと報告し、一定グループ内の伝染病と捉えないよう注意を呼びかけました。
6月23日に行われた会議の結果、WHOはサル痘(エムポックス)に関する緊急事態宣言の指定を見送ると発表。しかし、引き続き感染防止対策が必要と述べ、ヨーロッパを往来する渡航者に強い警戒を呼びかけました。
アメリカやヨーロッパでの感染急拡大を鑑みて、WHOは7月21日に専門家による緊急委員会を再び開催。「サル痘が蔓延している現在の状況は国際的な懸念に該当する」とし、23日に緊急事態を宣言しました。サル痘の緊急事態宣言に関する詳細は「WHOがサル痘に関する緊急事態を宣言 アメリカやヨーロッパで患者が急増」をご確認ください。

サル痘(エムポックス)の症状について

サル痘はアフリカ中西部の風土病で、天然痘に似たウイルスの感染により症状が現れます。1958年に研究用のサルで初めて発見されたことに由来し「サル痘」と呼ばれていますが、一般的にリスやネズミを媒介して人間やサルに伝染します。
これまでに報告されているサル痘(エムポックス)に関する主な情報は以下の通りです。

  • 潜伏期間:7~14日間
  • 初期症状:発熱、頭痛、リンパ節の腫脹、筋肉痛など
  • 発疹:顔面と手から始まり身体の広範囲にわたり発現
  • 治癒:発症から2~4週間(対症療法を用いた場合)
  • 予防対策:早期にワクチン接種を行う。症状の疑いがある方や、リス・ネズミ(げっ歯類)との接触を避ける。石けんやアルコール消毒剤を使用した手指衛生をこまめに行う。

アメリカ国内の感染状況

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、アメリカ国内におけるサル痘の感染状況に関するデータを2023年6月7日に更新。症例の累計は30,468人となります。大半の患者は軽症ですが2022年8月末にテキサス州で国内初の死者が報告され、これまでに42人の死亡を確認しました。感染者数は減少しており、各州で収束の兆しが見られます。
アメリカ国内におけるサル痘の感染者数は以下の通りです。(現地時間2023年6月7日時点)

アメリカ国内:30,468人(前週比+18人)

  • カリフォルニア州:5,763人
  • ニューヨーク州:4,262人(前週比+7人)
  • テキサス州:3,012人
  • フロリダ州:2,895人(前週比+1人)
  • ジョージア州:1,995人(前週比+1人)
  • イリノイ州:1,474人(前週比+3人)
  • ペンシルベニア州:867人
  • ニュージャージー州:767人(前週比+1人)
  • メリーランド州:748人
  • ノースカロライナ州:709人
  • ワシントン州:698人
  • アリゾナ州:592人
  • ヴァージニア州:572人
  • ワシントンD.C.:531人
  • マサチューセッツ州:461人
  • コロラド州:407人(前週比+2人)
  • ミシガン州:399人
  • テネシー州:397人
  • オハイオ州:393人
  • ネバダ州:323人
  • ルイジアナ州:314人
  • インディアナ州:288人
  • オレゴン州:280人
  • サウスカロライナ州:239人
  • ミネソタ州:234人
  • ミズーリ州:222人
  • プエルトリコ準州:207人
  • ユタ州:197人
  • アラバマ州:192人(前週比+2人)
  • コネティカット州:146人
  • ミシシッピ州:109人
  • ケンタッキー州:104人
  • ウィスコンシン州:89人(前週比+1人)
  • ロードアイランド州:85人
  • アーカンソー州:74人
  • オクラホマ州:70人
  • ニューメキシコ州:57人
  • カンザス州:50人
  • デラウェア州:44人
  • ハワイ州:35人
  • ニューハンプシャー州:36人
  • ネブラスカ州:32人
  • アイオワ州:30人
  • アイダホ州:16人
  • メイン州:13人
  • ウェストバージニア州:12人
  • モンタナ州:7人
  • ノースダコタ州:6人
  • アラスカ州:5人
  • ワイオミング州:4人
  • ヴァーモント州:3人
  • サウスダコタ州:3人

アメリカ国内の感染対策

ニューヨーク州とカリフォルニア州は、サル痘患者の急増を受けて強い警戒態勢を表明。ニューヨーク州は2022年7月28日に「脅威宣言」を発出し、カリフォルニア州およびサンフランシスコ市は8月1日に「サル痘に関する緊急事態」を宣言しました。また、イリノイ州も8月1日付けでサル痘の緊急事態宣言を発出。各地域の宣言は28~30日間にわたり適用となる見込みです。
8月4日、アメリカ政府は国内全土を対象に「サル痘に関する公衆衛生上の緊急事態」を宣言。感染被害を食い止めるため、追加資金を投入する意向を示しました。
バイデン大統領はサル痘の感染抑止に向けた取り組みを強化すると述べ、FEMA(米国連邦緊急事態管理庁)高官のフェントン氏を「サル痘対策調整官」に指名。各州政府と連携し、早急な対策を講じるとしています。
国内におけるサル痘患者の急増を受け、HHS(アメリカ合衆国保健福祉省)は500万回分の天然痘ワクチンJYNNEOS(ジンネオス)を確保したと発表。来年5月まで定期的に各自治体へ供給する方針を明らかにしました。現時点でサル痘の特効薬は開発されていないため、症状が似ている天然痘のワクチン接種で治療と予防を行っています。
同ワクチンによるサル痘の発症予防効果は85%以上で、高い有効性が認められるとHHSは説明。4週間の期間を空けて2回の接種が必要です。

世界各国におけるサル痘(エムポックス)の感染状況

これまでアフリカ以外での症例は稀でしたが、2022年5月からヨーロッパと北米を中心に患者が急増。2023年6月6日時点で111の国・地域において87,942人の症例が確認されました。最多のアメリカは30,468人となり、次いでブラジル10,948人、スペイン7,556人、フランス4,146人、コロンビア4,090人、メキシコ4,020人、ペルー3,800人、イギリス3,753人、ドイツ3,691人で、感染者は大幅な減少が続いています。
現在、サル痘の症例が報告されている国・地域は以下の通りです。

アメリカ、イギリス、メキシコ、カナダ、ブラジル、オーストラリア、韓国、台湾、シンガポール、ベナン、カメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ガーナ、ナイジェリア、南アフリカ、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ、レバノン、モロッコ、UAE(アラブ首長国連邦)、オーストリア、ベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ジョージア、ドイツ、ジブラルタル、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、ラトビア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、セルビア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、ブルガリア、クロアチア、コロンビア、ペルー、バハマ、ドミニカ共和国、エクアドル、エストニア、ジャマイカ、スロバキア、トルコ、パナマ、ニュージーランド、ロシア、ボスニアヘルツェゴビナ、インド、ニューカレドニア、サウジアラビア、バルバドス、マルティニーク、タイ、コスタリカ、カタール、バミューダ、日本、リベリア、アンドラ、フィリピン、ウルグアイ、キプロス、グアドループ、モンテネグロ、ボリビア、グアテマラ、リトアニア、スーダン、モルドバ、バハマ、グリーンランド、ホンジュラス、イラン、モナコ、インドネシア、キュラソー、アルバ、キューバ、ガイアナ、パラグアイ、エルサルバドル、香港、エジプト、ヨルダン、ウクライナ、バーレーン、中国、ベトナム、モザンビーク、サンマリノ、スリランカ、パキスタン

欧米各国ではサル痘の予防対策として、天然痘ワクチンの供給を進めています。アメリカやカナダでは医療従事者や患者と接触した方への接種を開始しました。
WHOはサル痘の患者と密接に接触した方は誰もが罹患するリスクがあると述べ、「感染を理由に不当な扱いを受ける市民がいてはならない」とコメント。患者が使用した寝具や衣類などへの接触のほか、飛沫での伝染にも強い警戒を呼びかけています。

参考元:United NationsCDC