メルク社の新型コロナウイルス経口治療薬 臨床試験で入院・死亡リスクが半数に

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メルク社の新型コロナウイルス経口治療薬 臨床試験で入院・死亡リスクが半数に

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アメリカの大手製薬会社メルクは、開発中の新型コロナウイルス経口治療薬(飲み薬)「モルヌピラビル」について言及。臨床試験において高い効果が確認されたと報告し、近日中にFDA(アメリカ食品医薬品局)へ緊急使用許可を申請すると発表しました。すでに製造段階に入ったと述べ、各国の規制当局にも承認申請を行うとしています。
臨床試験はアメリカやイギリス、日本を含む世界各国で実施。軽症および中等症の患者775人を2つのグループに分け、それぞれにモルヌピラビルとプラセボ(疑似薬)を使用して行われました。プラセボを服用した377人のうち53人が1か月以内に入院し、8人の死亡を確認。一方、モルヌピラビルを服用した385人のグループで入院した患者は28人と半減し、死亡者はいませんでした。なお、臨床試験を行った患者の大半は高血圧や心臓病など、何らかの基礎疾患があったと報告されています。
メルク社は当初1,550人の患者に臨床試験を行う予定でしたが、今回の中間結果が良好だったことを受け追加試験の中止を発表。緊急使用許可の承認を見据え、年内に1,000万人分を製造するとしています。
経口治療薬の実用化により新型コロナウイルスの対応は画期的に変化すると期待され、アメリカ政府はすでに170万人分の購入契約を結んだことを明らかにしました。
メルク社のデイビスCEOは、「新型コロナウイルスの治療法をめぐる議論が変わるだろう」とコメント。同社とモルヌピラビルを共同開発しているリッジバック・バイオセラピューティクス社のホールマンCEOも、「患者が自宅で服用できる抗ウイルス薬は必要不可欠なものになります」と述べ、実用化に向けて邁進するとしています。
ホワイトハウスの新型コロナウイルス対策調整官を務めるジェフ・ザイアンス氏は、「モルヌピラビルはひとつの治療手段になり得る」との見解を表明。引き続きワクチン接種が最も有効的な対策になると述べる一方、新薬に対し一定の評価を示しました。
新型コロナウイルスの経口治療薬はメルク社のほか、スイスの製薬大手ロシュ社やアメリカのファイザー社なども開発を進めています。日本では塩野義製薬が2022年1月以降の実用化を目指しているほか、富士フイルム富山化学も抗インフルエンザ薬を転用した治療薬を開発。すでに治験段階に入ったことを明らかにしました。

参考元:REUTERS